入院や介護、賃貸契約などの場面で求められる緊急連絡先は、身寄りがない人にとって大きな悩みのひとつです。なぜ緊急連絡先が必要なのか、どのようなときに使われるのか、そして誰を登録すべきか迷う人も少なくありません。そこで本記事では緊急連絡先の役割や注意点、用意できないときの相談先について紹介します。
身寄りがない人にも緊急連絡先が求められる理由
身寄りがない方や一人で生活している方の中には、各種契約や施設利用の場面で「緊急連絡先」が求められ困った経験をされた方もいるのではないでしょうか。以下では、なぜ身寄りがない方にも緊急連絡先が必要とされるのか、その背景と理由を紹介します。緊急時の対応や安否確認のために必要とされる緊急連絡先
緊急連絡先は、自然災害や事故など思わぬ事態が起きた際に、本人の状況を確認し、必要な対応を取るために求められます。特に社会生活を送る中で、会社や学校、地域のサービス、行政手続きなど、さまざまな場面で安全確保のための体制が重視されています。そのため、身寄りがなくても社会とのつながりの中で暮らす以上、周囲への連絡体制は必要です。緊急連絡先は「何かが起きたときのための備え」であり、本人を守るために設けられた制度といえます。介護施設の利用には緊急連絡先が必須とされる理由
介護施設に入居する際、多くの施設で契約時に緊急連絡先の提出が求められます。これは入居者の体調悪化やケガなど予期せぬ事態に対応するためです。身寄りがない方の場合でも、施設側は安全な生活環境を提供する責任があるため、連絡先の提出を必須条件とすることが一般的です。また、緊急連絡先と似た役割を持つものとして「身元保証人」があります。身元保証人は、入居契約の手続き支援やトラブル発生時の連絡窓口となる存在であり、緊急連絡先よりも契約面で深く関わるケースが多いです。身寄りがない方の場合、これらをどう確保するかが大きな課題となっています。
入居手続きだけでなく退去や万一の場面でも欠かせない
緊急連絡先は介護施設への入居時だけでなく、退去手続きの際にも重要な役割を持ちます。別の施設への移転が必要になった場合や、入院に伴う一時退去が必要になった場合、契約手続きを進めたり荷物を整理したりする際の連絡先が求められます。また、万が一亡くなった場合も、施設では遺品を長期間保管できません。次の入居者を迎えるため、速やかな部屋の明け渡しが必要となります。このような場面で施設側とのやりとりを担う人がいないと、手続きが進まず大きな問題に発展してしまいます。そのため、緊急連絡先の存在は入居中だけでなく、その後の生活や手続きにも深く関わるものといえるでしょう。
入院や手術の契約時にも求められる緊急連絡先
医療機関で入院や手術をする際、病院と交わす契約書の中に緊急連絡先の記入欄があります。これは医療行為を受ける中で、本人が判断できない状態になる可能性があるためです。治療の方針を確認したり、医療費の支払い方法を調整したりする際、連絡が取れる人がいなければ治療が進められない場合があります。そのため、身寄りがない方であっても緊急連絡先を求められることは避けられません。こんなときに使われる!緊急連絡先の具体例
緊急連絡先は書類や契約のたびに必要となることがありますが、実際にどのようなときに使われるのかイメージしづらい方も多いかもしれません。ここでは、連絡が入る主なケースをわかりやすく紹介します。海外でトラブルに巻き込まれたケース
海外旅行中や留学先で事故やトラブルが発生し、現地で本人と連絡が取れなくなった場合、日本の大使館や領事館が対応に入ることがあります。その際に、登録されている緊急連絡先へ連絡が入ることが少なくありません。海外では言葉や制度の違いによりスムーズな連絡が難しいケースもあるため、緊急連絡先は大切な情報となります。急病や事故で意識を失ったケース
自宅や外出先で突然倒れてしまい、本人が自分で連絡できない状況になることがあります。このような場合、救急隊員や医療スタッフは身元の確認と家族への連絡を行うため、身分証明書や携帯電話の登録情報などから緊急連絡先に連絡を試みます。本人が意思を伝えられない状況でも、緊急連絡先があることで必要な対応が進められやすくなるので、iPhoneなどの緊急連絡先機能へ登録しておきましょう。勤務先と連絡が取れない状態が続くケース
会社に勤めている人が無断で欠勤し、電話やメールなどで連絡をしてもまったく応答がない場合、勤務先が安否を心配して緊急連絡先に連絡することがあります。勤務先は従業員の安全管理にも配慮する必要があるため、緊急連絡先は就業規則や雇用契約の一部として提出を求められることが一般的です。契約の延滞やトラブル発生時に本人と連絡が取れないケース
賃貸契約や携帯電話契約などで支払いが滞納しているにもかかわらず、契約者本人とまったく連絡が取れない場合にも緊急連絡先が利用されます。事業者はトラブル解決や状況確認のため、緊急連絡先へ連絡して状況を確認することが少なくありません。連絡手段を確保するため、契約時に緊急連絡先の提出が求められるのはこのためです。緊急連絡先は誰でもいいわけではない
緊急連絡先は本人に代わって連絡や手続きの対応をしてくれる重要な存在です。しかし、誰でも登録できるわけではなく、相手によっては緊急連絡先として認められない場合があります。ここでは、緊急連絡先として適さない人の特徴を紹介します。判断力に不安がある認知症の方
認知症の方は記憶力や判断力が低下することがあり、緊急時に適切な対応を取ることが難しい場合があります。そのため、多くの医療機関や介護施設、行政手続きでは緊急連絡先として認められにくいことがあります。緊急連絡先は、突然の連絡に対応し、状況を理解した上で必要な判断ができる人でなければなりません。認知症の方はその役割を果たすことが難しいと判断されるため、登録を断られるケースがほとんどです。連絡を受けても対応が難しい障害のある方
身体障害や知的障害、精神障害を持つ方の中には、緊急連絡先として責任を果たすことが難しいケースがあります。特に、判断力や意思疎通に支障がある場合、緊急時に医療機関や施設と連絡を取り合うことができなかったり、必要な書類手続きが進められなかったりする可能性があります。たとえ本人や家族の希望があっても、施設や病院から緊急連絡先として認められないことも少なくありません。法的な責任を負えない未成年者
未成年者は法律上の契約行為に制限があるため、緊急連絡先として登録できないことがほとんどです。緊急連絡先は、医療手続きや介護契約、身元確認など、法律や契約に関わる場面で連絡を受ける立場になるため、ある程度の責任を負える人であることが前提になります。しかし、未成年者には法的責任が認められにくく、緊急連絡先として適さないと判断されるのです。後期高齢者も対象外になる可能性が高い
75歳以上の後期高齢者でも元気に生活している方は多くいますが、緊急連絡先として避けられることがあります。理由としては、体調の変化が起きやすい年齢であることや、すぐに連絡や対応ができない可能性があるためです。また、遠方に住んでいる高齢の親族を緊急連絡先にしている場合、いざというときに移動が難しいという問題もあります。緊急連絡先は「確実に連絡が取れること」「対応力があること」が求められるため、施設や病院では後期高齢者の登録を断るケースも少なくありません。