人生の後半を安心して過ごすためには、将来に備えて早めに準備をしておくことが大切です。病気やケガ、認知症、そして死後の手続きなど、自分や家族にいつ起こるかわからない不安は誰にでもあります。本記事では、生前の生活支援から判断力低下への備え、死後の準備までをわかりやすく解説します。
生前の生活を安心して続けるためのサポート
高齢になっても今の暮らしをできるだけ長く続けたいと考える人は多く、周囲の支えや仕組みをあらかじめ整えておくことが安心につながります。ここでは、普段の生活を見守るサービスと、入院や施設入居の際に必要になる身元保証に関する仕組みを紹介します。サービス1:見守りサービス
見守りサービスには大きく分けて「訪問型」「通信機器型」「通話・アプリ型」の3つがあります。まず、訪問型はスタッフが定期的に自宅を訪れ、顔を見ながら体調や生活状況を確認します。会話を通じて利用者の気持ちに寄り添えるため、安心感が高いことが特徴です。次に通信機器型はセンサーやカメラを使って異常を検知する仕組みで、倒れたまま動けないといった緊急時にも早く対応できます。最後の通話・アプリ型は電話やスマホアプリで安否確認を行う手軽なタイプで、費用を抑えたい場合に適しています。
失敗しないためのサービス選びのポイント
見守りサービスを選ぶときは、まず利用目的を明確にしましょう。「緊急時に駆けつけてほしい」「定期的に会話をして孤独を防ぎたい」など、重視する点は家庭によって異なります。また、費用もサービスによって差があります。月額料金や初期費用、オプション料金の有無を確認し、長く続けられる内容かどうかを判断しましょう。サービス2:身元保証サービス
入院や介護施設への入居手続きの際に必要となる身元保証人は緊急時の連絡先になるだけでなく、医療費や施設費の支払いが滞った場合の対応窓口として重要な役割を担います。しかし、家族と疎遠になっている人や、そもそも頼れる親族がいない人にとって、保証人を用意することは簡単ではありません。そういった事情を抱える人にとって負担を減らす手段として、身元保証サービスは有効です。このサービスは司法書士事務所や民間企業、NPO法人などが有償で契約者の保証を引き受ける仕組みで、専門的なサポート体制を整えているところも多く見られます。家族に迷惑をかけたくないと考える人にとっても利用しやすい仕組みといえるでしょう。
失敗しないためのサービス選びのポイント
身元保証サービスを利用する際には契約内容の確認が欠かせません。同じ名称のサービスでも、引き受ける内容や対応できる範囲には大きな差があります。緊急時の連絡を中心とした最低限の支援にとどまるものもあれば、入院時の付き添いや手続きの代行、施設退去時の立ち合いや遺品整理まで対応する総合的なプランを提供するものもあります。また、契約期間の取り決めや途中解約の条件についても確認しておきましょう。トラブルを避けるためには、生前のうちに遺言や死後事務委任契約を整え、財産や日常の契約を整理しておく取り組みも同時に進めておくと安心です。
判断能力が低下したときに備える契約
年齢を重ねると、病気や認知症などにより判断力が低下する可能性があります。ここでは「財産管理委任契約」と「任意後見契約」という2つの制度について紹介します。サービス3:財産管理委任契約
財産管理委任契約とは、自分の代わりにお金の管理や各種手続きを行ってくれる人をあらかじめ決めておく契約のことを指します。この契約は、本人の判断能力がしっかりしているうちに結ぶ点が特徴です。たとえば、足腰が弱くなり銀行や役所に行くことが負担になった場合でも、契約しておけば受任者が代わりに手続きを進められます。また、公共料金の支払い、年金の受け取り手続き、介護保険の申請、入院費や家賃の支払いといった日常生活に関わる事務を任せることも可能です。
失敗しないためのサービス選びのポイント
財産管理委任契約は便利な仕組みですが、契約後のトラブルを防ぐためには注意が必要です。家族に依頼する場合でも、お金の管理に不安がある、忙しくて対応できないといった心配があるなら、第三者である専門家に依頼したほうが安全なケースもあります。加えて、契約内容はあいまいにせず、どの範囲まで任せるのか、どのように管理するのかをはっきり決めておくことが重要です。サービス4:任意後見契約
任意後見契約とは、将来認知症や病気などによって判断能力が低下したときに備え、あらかじめ信頼できる人に財産管理や生活の手続きなどを任せる契約です。後見をお願いする相手は「任意後見人」と呼ばれ、家族や親族のほか、司法書士や弁護士などの専門家を選ぶこともできます。何も準備をしていないまま判断能力を失った場合は、法定後見制度を使うことになりますが、この制度では家庭裁判所が後見人を選ぶため、必ずしも本人が信頼している相手が担当になるとは限りません。だからこそ、自分の意思で将来を決めておける任意後見契約は重要な備えといえます。
失敗しないためのサービス選びのポイント
任意後見契約を結ぶ際は、公正証書による正式な契約が必要です。内容が専門的になるため、司法書士や行政書士に相談しながら進めるのが一般的です。ただし、誰に任意後見人を依頼するかは慎重に選ぶ必要があります。任せる相手が不適切だと、金銭管理の不透明さや生活支援の放置といったトラブルにつながるおそれがあります。そのため、信頼できる人物であることはもちろん、責任感や対応力があるかどうかも判断材料です。
死後の手続きと意思を確実に残すための準備
自分が亡くなった後のことを考えるのは、誰にとっても簡単なことではありません。しかし、葬儀や遺品整理などは必ず発生する現実的な手続きです。元気なうちに準備をしておくことで、自分の希望を形にし、周囲の負担を減らすことができます。ここでは、死後の手続きや意思を確実に残すための3つの方法を紹介します。サービス5:死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に必要になるさまざまな手続きを、信頼できる人や法人に任せておく契約です。人が亡くなると、葬儀や火葬、納骨に加えて、病院や介護施設の退去手続き、公共料金や携帯電話の解約、家賃の精算、遺品整理など多くの事務作業が発生します。家族がいれば対応できますが、親族がいない人や家族に負担をかけたくないと考える人にとっては大きな不安となります。そこで役に立つのが死後事務委任契約です。この契約があれば、生前に希望していた葬儀の形や埋葬方法を反映させることができ、本人の意思を尊重した対応が可能になります。また、役所への届け出や医療費・税金の精算など、手続きの手間を一括して任せられるため安心感があります。
失敗しないためのサービス選びのポイント
死後事務委任契約を結ぶ際は、委任する内容をあいまいにせず、細かく決めておくことが重要です。契約で任せられるのは死後の実務的な手続きであり、財産の分配など相続に関する内容は含まれません。財産をどう分けるかを決めたい場合は、必ず遺言書を別に用意する必要があります。この点を理解しておかないと、後でトラブルになる可能性があります。また、契約相手を選ぶ際は、信頼性を重視しなければなりません。親族や知人に頼むこともできますが、負担が大きくなる可能性があるため、司法書士事務所やNPO法人、専門のサービスを提供する企業に依頼するケースも増えています。依頼先を決める前に、対応実績やサポート体制、引き受ける範囲を必ず確認しておくことが大切です。
サービス6:遺言書の作成
遺言書は、自分が亡くなった後の財産の分け方をあらかじめ決めておくための大切な書類です。相続でもめる原因の多くは「何も準備していなかったこと」にあります。そのため、元気なうちに遺言書を用意しておくことで、家族への負担を減らし安心して暮らすことができます。遺言書にはいくつか種類がありますが、公証人が作成に関わる公正証書遺言はもっとも信頼性が高い方法とされています。公証人が本人の意思を確認しながら作成し、公証役場で保管されるため紛失や改ざんの心配がほとんどありません。また、家庭裁判所での検認手続きが不要で、そのまま相続手続きに進められる点も大きなメリットです。
失敗しないためのサービス選びのポイント
遺言書は正しい形式で作成されていなければ無効になる可能性があります。そのため、専門的な知識が求められる公正証書遺言は司法書士や行政書士に相談しながら進める方が多いです。また、遺言書は作成したら終わりではなく、家族構成や財産内容の変化に合わせて見直すことも重要です。早めに準備を始めることで、意思能力の低下により作成が間に合わないといったリスクも避けられます。サービス7:尊厳死宣言書
尊厳死宣言書とは、重い病気や事故などで回復の見込みがなく、意思を伝えられない状態になったときに、延命のためだけの医療行為を望まないという意思を示すための書面です。人工呼吸器や胃ろう、心臓マッサージなどの延命措置を受けるかどうかは本来本人が決めるべきことですが、実際には判断できない状態になってから医療や介護の現場で方針が決められることが多くあります。その結果、本人の希望がわからず、望まない延命治療が続くケースも少なくありません。尊厳死宣言書を準備しておけば、自分の意思を明確に伝えることができ、医療従事者が治療方針を決める際の重要な判断材料になります。法的な拘束力はありませんが「本人の意向を示す正式な意思表示」として扱われるため、最期まで自分らしく生きたいと考える人にとって重要な備えといえます。
失敗しないためのサービス選びのポイント
尊厳死宣言書には決まった形式がありませんが、内容が不明確な場合は意思が正しく伝わらないことがあります。そのため、より確実に意思を残すには、公正証書として作成しましょう。司法書士や行政書士に相談しながら進めると安心です。また、宣言書を作っただけで満足せず、家族や信頼できる人、かかりつけ医にも内容を伝えておくことも忘れないようにしましょう。尊厳を守るための準備として、早めの検討と専門家への相談を意識してください。